Kiroは Nov 3, 2026 のリリースで、対話型Kiro CLIセッションの既定のエージェントハーネスをV3に切り替えました。あわせてKiro CLIは単一のスタンドアロンバイナリに統合され、旧インターフェースやデスクトップアプリは終了します。日々の使い方に影響する重要なアップデートです。
公式の変更履歴は Kiro Changelog で確認できます。
V3がデフォルトに:何が変わったのか
今回のリリースでは、V3が「実行できるホストでの対話型Kiro CLIセッション」の既定のエージェントハーネスになりました。もう --v3 オプションを付ける必要はありません。
※エージェントハーネスとは: AIモデルにツール実行やファイル操作などをさせるための土台となる仕組みのこと。どんな機能が使え、どう動くかを決める枠組みです。
既存V2ユーザーへの配慮
- すでにV2を使っているユーザーには、デフォルトを適用する前に確認が表示されます。
- V2形式のカスタムエージェントは、無効にしない限りKiroがアップグレードします。
- V2のエージェントを使い続けたい場合は
kiro-cli --v2を実行します。
graph TD
A["対話型セッションを開始"] --> B["新規セッション"]
A --> C["V2を既に利用中"]
B --> D["V3で開始"]
C --> E["V3にするか確認"]
利用形態ごとの既定動作
| 利用形態 | 既定の動作 |
|---|---|
| Interactive | 新規セッションはV3で開始。V2利用中なら先に確認 |
| Headless | --trust-all-tools を使うスクリプトはV3で開始。その他はV2のまま |
| ACP | 新規クライアントはV3で開始。既存クライアントは、すでに対応済みでない限りV2のまま |
※Headlessとは: 人が対話せず、スクリプトなどから自動実行する使い方のこと。 ※ACPとは: 素材では詳細が説明されていないため、ここでは「クライアントからKiroに接続する方式」の一つとだけ紹介します。詳しい仕様は公式情報をご確認ください。
既存のスクリプトやクライアントは原則そのままV2で動き続けますが、--trust-all-tools を使うスクリプトだけは既定でV3に変わる点に注意が必要です。
V3で使える新機能
公式の説明によると、V3にはV2にない機能が加わっています。
Cloud sessions
接続を切っても、あとから /sessions で再開できます。作業を中断しやすい長めのタスクで役立つと考えられます。
Memory
有効化すると、リポジトリのコンテキストを次回以降に引き継ぎます。毎回プロジェクトの前提を説明し直す手間が減ることが期待できます。
Approve for me
有効化すると、定型的な操作は自動承認、安全でない操作はブロックし、それ以外は確認を求めます。ただし、判断の優先順位はあくまでユーザーが設定した deny、ask、allow のルールが先です。つまり、自分のルールを上書きして勝手に許可されるわけではありません。
/sandbox と /autonomous on
/sandboxはシェルコマンドを隔離して実行します。/autonomous onは、サンドボックスを有効にした状態で、コマンドごとの承認なしにタスクを進めます。
※サンドボックスとは: プログラムを外部から隔離された環境で動かし、システムへの影響を抑える仕組みのこと。
承認の手間を減らしつつ安全面にも配慮する、という組み合わせになっています。
Workflows
Workflowsは、開始前に計画を表示します。利用するには /settings > Features でWorkflowsをオンにします。実行前に段取りを確認できるため、意図しない作業を避けやすくなると考えられます。
終了・変更される機能と移行時の注意
今回、Kiro CLIは単一のスタンドアロン kiro-cli バイナリになりました。その結果、次の機能が整理されています。
| 対象 | 変更内容 |
|---|---|
| Classic (V1) インターフェース | 動作しなくなる。設定等で選択していると、チャット開始時に Continue with V3 が表示される。スクリプトでは選択が無視される |
| デスクトップアプリ | 配布終了。macOSの既存インストールは、次の更新確認でスタンドアロンの kiro-cli に切り替わる |
| インラインのシェルautocompleteとinline suggestions | 廃止。スタンドアロン版での代替は無い |
| 一部コマンド | autocomplete、inline、translate、theme、dashboard は利用不可 |
kiro-cli doctor |
kiro-cli diagnostic または kiro-cli issue を案内する |
特にautocompleteやinline suggestionsを日常的に使っていた方は、代替機能が用意されていない点に注意してください。上記コマンドをスクリプトで呼んでいる場合は、削除が必要です。再インストールやインストール方法の変更については、公式の「Moving from the Kiro CLI desktop app」を参照してください。
影響と展望
これはあくまで素材から読み取れる範囲での見解ですが、今回のリリースは、Kiro CLIを「承認の手間を減らしつつ、サンドボックスやルールで安全性を保つ」エージェント型ツールへ寄せていく方向性を示していると考えられます。Cloud sessionsやMemoryは、長期的なプロジェクト作業との相性が良さそうです。
一方で、単一バイナリ化によりデスクトップアプリや補完系機能が整理されたため、ツール構成をシンプルにする代わりに、移行コストが発生するユーザーもいるでしょう。性能差や数値的なベンチマークは、現時点では公表されていません。
まとめ
- Nov 3, 2026 のリリースで、対話型Kiro CLIの既定がV3になり、
--v3は不要に - V2利用中のユーザーには事前確認があり、V2を使い続けるなら
kiro-cli --v2 - V3ではCloud sessions、Memory、Approve for me、/sandbox、/autonomous on、Workflowsが利用可能
- Classic (V1)、デスクトップアプリ、autocomplete、inline suggestionsは終了し、一部コマンドも利用不可
- Headlessは
--trust-all-toolsのスクリプトのみV3、ACPは新規クライアントのみV3が既定