今週のKimiは、開発者向けの実験的な新機能と、ユーザー体験を向上させるためのUI/UX改善がバランス良く盛り込まれた週となりました。特に、リモートからの開発を可能にする「リモートコントロール」や、複雑なタスクを効率化する「マルチエージェントオーケストレーション」といった先進的な機能が登場し、Kimiの可能性を大きく広げています。
Kimi Code v0.39.0:開発の自由度と効率性を高める新機能
リモートコントロール機能の追加(実験的)
Kimiのローカルウェブセッションに、リモートからアクセスできる「リモートコントロール」機能が実験的に追加されました。これにより、Kimiを利用した開発の場所にとらわれない自由度が格段に向上します。
- 内容:
KIMI_CODE_EXPERIMENTAL_REMOTE_CONTROL=1を設定し、kimi rc、kimi web --remote-control、または/remote-controlコマンドで有効化することで、ローカルで動作しているKimiのウェブUIに遠隔地からアクセスできるようになります。 - 影響: 自宅の強力な開発環境でKimiを動かし、外出先のノートPCやタブレットから作業を継続するといった使い方が可能になります。チームでの共同開発やデバッグ作業においても、リモートでの環境共有が容易になります。
- 使いどころ: 例えば、自宅のデスクトップPCでKimiをセットアップし、カフェや出張先からタブレットでコードレビューやAIエージェントの挙動確認を行う、といったシナリオで非常に役立ちます。
- ※リモートコントロールとは: 遠隔地にあるコンピュータやアプリケーションを、ネットワーク経由で操作する機能のことです。
サブエージェントの会話履歴フォーク機能(実験的)
サブエージェントを起動する際に、親エージェントの会話履歴のスナップショットを引き継がせることが可能になりました。これにより、サブエージェントがより文脈を理解した上でタスクを実行できるようになります。
- 内容: サブエージェントやスウォームツールにオプションの
forkパラメータが追加されました。KIMI_CODE_EXPERIMENTAL_SUBAGENT_FORK=1を設定するか、config.tomlの[experimental]セクションでsubagent_fork = trueとすることで有効化できます。 - 影響: サブエージェントが親エージェントとのこれまでの会話内容を把握した上でタスクに取り組めるため、指示の繰り返しや文脈の説明が不要になり、よりスムーズで効率的な連携が実現します。
- 使いどころ: 特定の専門タスク(例: データ分析、コード生成、テスト実行)をサブエージェントに任せる際、これまでの議論や要件定義の経緯を自動的に共有させることで、サブエージェントの初期設定の手間を省き、より的確なアウトプットを期待できます。
- ※サブエージェントとは: メインのエージェントから特定のタスクを委譲され、独立して動作する小さなAIエージェントです。
- ※フォークとは: 既存のプロセスや状態を複製し、そこから新たなプロセスを開始する概念です。
マルチエージェントオーケストレーション「タワーモード」の追加(実験的)
複数のAIエージェントを連携させ、より高度なタスクを自動化するための「タワーモード」が実験的に導入されました。
- 内容:
KIMI_CODE_EXPERIMENTAL_TOWER=1を設定し、/tower onおよび/towerコマンドで開始することで、マルチエージェントオーケストレーションの新たな可能性を探ることができます。 - 影響: 複雑なプロジェクト管理や、複数の専門分野にまたがるタスクを、AIエージェント群が協調して解決する道が開かれます。これにより、より大規模で自律的なAIシステムをKimi上で構築できるようになる可能性があります。
- 使いどころ: ソフトウェア開発における要件定義、設計、実装、テストといった一連の工程を、それぞれのエージェントが担当し、全体を統括するエージェントが進行を管理するような、高度な自動化シナリオが考えられます。
- ※マルチエージェントオーケストレーションとは: 複数のAIエージェントが連携し、協調して複雑なタスクを遂行するシステムを構築する手法です。
モバイルUIの改善
モバイル版Kimiのユーザー体験が大幅に向上しました。
- 内容: スラッシュコマンドや@-メンションのパネルがグラブハンドル付きのボトムシート形式に変更され、セッションリストには「フラット/ワークスペース別」タブが追加されました。
- 影響: スマートフォンやタブレットでの操作性が向上し、外出先や移動中でもKimiをより快適に利用できるようになります。特に、画面の小さいデバイスでのコマンド入力やセッション管理がスムーズになります。
- 使いどころ: 移動中に急なアイデアをKimiに相談したい時や、外出先でプロジェクトの進捗を素早く確認したい時など、モバイル環境での利用がより便利になります。
右サイドバーのマルチタブパネル化
デスクトップ版の右サイドバーが、複数のタブを持つパネルとして刷新されました。
- 内容: 右サイドバーがマルチタブ形式になり、関連情報へのアクセスが容易になりました。
- 影響: プロジェクト情報、ツール、設定などを一箇所で管理し、必要に応じてタブを切り替えることで、より整理されたワークスペースを実現し、作業効率が向上します。
- 使いどころ: 複数の情報を参照しながら作業を進める際、サイドバーでタブを切り替えるだけで必要な情報に素早くアクセスでき、画面の切り替えやウィンドウの整理の手間が省けます。
実行中のコマンド/サブエージェントのバックグラウンド移動
実行中のBashコマンドやサブエージェントをバックグラウンドに移動させる機能が追加されました。
- 内容: 実行中のカードに「Move to background」ボタンが追加され、フォアグラウンドで実行中のタスクをバックグラウンドに移行できるようになりました。
- 影響: 複数のタスクを並行して実行する際の柔軟性が向上します。時間のかかる処理をバックグラウンドで進めながら、フォアグラウンドで別の作業を行うことが可能になります。
- 使いどころ: 長時間かかるデータ処理やモデル学習をバックグラウンドで実行しつつ、別のコード記述やデバッグ作業をフォアグラウンドで行うことで、作業の中断なく効率的に開発を進められます。
その他の改善
- 長いエージェントのターン中に発生する可能性があった
MaxListenersExceededWarningが抑制され、安定性が向上しました。
Kimi Code v0.39.1:安定性とユーザー体験のさらなる向上
多数のWeb UI修正と安定性向上
KimiのWeb UIにおいて、ユーザー体験を阻害していた複数のバグが修正され、全体的な安定性が向上しました。
- 内容: コマンドツール行の高さの不一致、空のコンポーザーで最初のIME/キーボード入力文字が消える問題、セッションごとの許可モードが他のセッションに影響する問題、画像/動画添付プレビューのちらつきやインタラクション破損、新規セッションでの添付ファイルアップロード表示の不具合など、多岐にわたる修正が行われました。
- 影響: 全体的なユーザー体験の安定性と信頼性が向上し、細かいストレスなくKimiを利用できるようになります。特にモバイルユーザーや、頻繁にファイルを添付するユーザーにとって、より快適な環境が提供されます。
- 使いどころ: 日常的なKimiの利用全般において、これまで感じていた小さな不便が解消され、よりスムーズに作業を進められるようになります。
kimi update のリクエストタイムアウト延長
Kimi本体の更新コマンド実行時のタイムアウト時間が延長されました。
- 内容:
kimi updateコマンドのリクエストタイムアウトが増加されました。 - 影響: ネットワーク環境が不安定な場合や、更新ファイルが大きい場合でも、更新が途中でタイムアウトして失敗するリスクが低減され、Kimi本体のアップデートがより確実に行えるようになります。
- 使いどころ: Kimiのバージョンアップ時に、安定した更新プロセスを確保できます。
今週の変化の意味:Kimiが目指す未来
今週のKimiのアップデートは、開発者にとっての「自由度」と「効率性」、そして一般ユーザーにとっての「使いやすさ」を同時に追求する姿勢が明確に表れています。実験的ながらも「リモートコントロール」や「マルチエージェントオーケストレーション」といった先進的な機能が導入されたことは、Kimiが単なるコード生成ツールに留まらず、より高度な開発環境、あるいはプロジェクト管理プラットフォームへと進化しようとしていることを示唆しています。同時に、モバイルUIの細やかな改善やバグ修正は、日常的な利用におけるストレスを軽減し、より多くのユーザーがKimiの恩恵を受けられるようにするための地道な努力が続けられていることを物語っています。
まとめ
- Kimiがリモート開発を可能にする「リモートコントロール」機能を実験的に導入。
- サブエージェントの会話履歴フォークや「タワーモード」でマルチエージェント連携が大きく進化。
- モバイルUI/UXが大幅に改善され、外出先での利用がより快適に。
- 右サイドバーのマルチタブ化や実行中タスクのバックグラウンド移動で開発効率が向上。
- 多数のWeb UIバグ修正により、Kimi全体の安定性と信頼性が向上。


