【n8n】バージョン1.6.1リリース!TheHive 5連携強化でセキュリティ自動化を加速【2023年最新】

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【n8n】バージョン1.6.1リリース!TheHive 5連携強化でセキュリティ自動化を加速【2023年最新】

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導入部

2023年9月6日、オープンソースのワークフロー自動化ツールn8nがバージョン1.6.1をリリースしました。今回のアップデートは、バグ修正、新機能の追加、既存ノードの機能強化を含み、特にセキュリティ運用プラットフォーム「TheHive 5」との連携強化が大きな目玉です。これにより、セキュリティインシデント対応の自動化がさらに加速し、初心者からエンジニアまで、幅広いユーザーにとってn8nの活用範囲が大きく広がることが期待されます。

主要な変更点

1. TheHive 5との強力な連携を実現

今回のリリースで最も注目すべきは、セキュリティインシデント対応プラットフォームであるTheHiveの最新バージョン5との連携が強化された点です。n8nは、新しい専用ノードとクレデンシャルを導入することで、TheHive 5のAPIバージョン5に完全に対応しました。

  • 概要: n8nがTheHive 5のAPIバージョン5にネイティブ対応しました。これにより、セキュリティ運用におけるインシデント対応の自動化がより高度かつ効率的に行えるようになります。
  • 初心者向け説明: セキュリティの異常を検知したときに、自動で「これは危険だ!」と判断して、関係者に連絡したり、必要な情報を集めたりする一連の作業を、n8nがTheHive 5と協力して自動でやってくれるようになりました。まるでセキュリティの専門家が24時間体制で働いてくれるようなものです。
  • 技術的詳細:

    • TheHive 5 Node: TheHive 5の各種オブジェクト(アラート、ケース、タスクなど)の作成、更新、取得といった操作を実行するためのノードです。
    • TheHive 5 Trigger Node: TheHive 5内で特定のイベント(例: 新しいアラートの作成、ケースのステータス変更)が発生した際に、n8nワークフローを自動的に起動するためのトリガーノードです。
    • TheHive 5 Credentials: TheHive 5 APIへの安全な認証を確立するための新しいクレデンシャルタイプが追加されました。
    • これにより、TheHive 5の最新API機能をn8nワークフロー内で直接利用できるようになり、より複雑で堅牢なセキュリティ自動化シナリオを構築することが可能になります。
  • 専門用語解説:

    • n8n(エイトエヌ)とは: オープンソースのワークフロー自動化ツールです。様々なWebサービスやAPIを連携させ、繰り返し発生するタスクやデータ処理を自動化できます。
    • TheHive(ザ・ハイブ)とは: セキュリティオペレーションセンター(SOC)やCSIRTチーム向けのオープンソースのインシデント対応プラットフォームです。セキュリティアラートの管理、インシデントケースの作成、タスクの割り当て、情報共有などを一元的に行えます。
    • ノードとは: n8nワークフローにおける個々の処理単位や、外部サービスとの連携ポイントを指します。例えば、「データを取得するノード」や「メールを送信するノード」などがあります。
    • クレデンシャルとは: 外部サービス(この場合はTheHive 5)に接続し、認証を行うための情報(APIキー、ユーザー名/パスワードなど)を安全に管理する仕組みです。
  • 具体的な活用例:

    1. 脅威インテリジェンス連携: 外部の脅威インテリジェンスフィード(例: VirusTotal, AlienVault OTX)で新しい脅威情報が検知された際、n8nがその情報を取得し、TheHive 5で自動的にアラートを作成。同時に、関連するIPアドレスやドメインをブロックリストに追加するアクションを自動実行します。
    2. インシデント対応の自動化: SIEM(セキュリティ情報イベント管理)システムが異常なログイン試行を検知し、TheHive 5にアラートを送信。TheHive 5 Triggerノードがこれを検知し、n8nワークフローが起動。関連するユーザーアカウントの一時ロック、担当者へのSlack通知、詳細調査のためのログ収集を自動的に行います。
    3. 脆弱性管理の効率化: 脆弱性スキャナーが新しい脆弱性を発見した際、n8nがその結果をTheHive 5にケースとして登録。優先度に応じて担当者を割り当て、Jiraなどの課題管理システムにチケットを自動作成するとともに、修正期限をリマインドするメールを送信します。
  • メリット:

    • セキュリティ運用の効率化: 手作業によるインシデント対応の負担を大幅に軽減し、SOCチームの生産性を向上させます。
    • 対応速度の向上: 脅威検知から対応までの時間を短縮し、被害の拡大を防ぎます。
    • ヒューマンエラーの削減: 定型的な作業を自動化することで、人為的なミスを排除し、対応の一貫性を保ちます。
    • 可視性の向上: すべての対応履歴がTheHive 5に集約されるため、インシデントの状況をリアルタイムで把握しやすくなります。
graph TD
    A[SIEM検知] --> B[TheHive 5アラート]
    B --> C[n8nトリガー]
    C --> D[アカウント停止]
    C --> E[Slack通知]
    C --> F[ログ収集]
  • 比較表: TheHive連携の進化
項目 TheHive 4以前の連携 TheHive 5連携 (n8n 1.6.1以降)
APIバージョン 主にAPI v4以下 API v5に完全対応
n8nノード 汎用HTTPノードなど 専用TheHive 5ノード、トリガー
認証 汎用クレデンシャル 専用TheHive 5クレデンシャル
機能拡張性 制限あり 最新API機能をフル活用、高度な自動化
運用効率 手動設定が多い よりシンプルで堅牢な設定

2. N8N_PERSISTED_BINARY_DATA_TTL 環境変数の廃止

今回のリリースでは、N8N_PERSISTED_BINARY_DATA_TTLという環境変数が廃止されました。これは、以前の一時的な実行(Ephemeral Executions)をサポートするために導入されたレガシーなフラグでしたが、この機能自体がサポート対象外となったため、変数も不要となりました。

  • 概要: n8nの環境設定で使われていたN8N_PERSISTED_BINARY_DATA_TTLという変数が、機能廃止に伴い削除されました。
  • 初心者向け説明: 以前は、n8nが一時的にデータを保存する期間を設定する「古いスイッチ」がありましたが、そのスイッチがもう必要なくなったので、設定から削除されました。ユーザーは特に意識する必要はありません。
  • 技術的詳細: N8N_PERSISTED_BINARY_DATA_TTLは、n8nがワークフロー実行中に生成するバイナリデータ(ファイルなど)を一時的に保持する期間を制御するための環境変数でした。この変数は、実行後にデータを自動的に破棄する「Ephemeral Executions(一時的な実行)」という概念と密接に関連していました。しかし、Ephemeral Executionsがn8nの設計から外れたため、それに伴いこの環境変数も不要となり、コードベースから削除されました。
  • 専門用語解説:
    • 環境変数とは: オペレーティングシステムやアプリケーションの動作に影響を与える設定値です。例えば、データベースの接続情報やAPIキーなどが環境変数として設定されることがあります。
    • Ephemeral Executions(エフェメラル・エグゼキューションズ)とは: 一時的な実行を意味します。特定のタスクやプロセスが実行された後、その実行に関連するデータや状態が自動的に破棄されるような形態を指します。n8nでは、実行履歴や一時データが永続化されないモードとして以前は存在しましたが、現在はサポートされていません。
  • メリット:
    • 設定の簡素化: ユーザーは古い、もはや機能しない環境変数を気にする必要がなくなります。
    • コードベースのクリーンアップ: 不要なコードや設定が削除されることで、n8n自体の保守性が向上し、将来的な開発がよりスムーズになります。
    • 運用の明確化: Ephemeral Executionsという概念がなくなったことで、n8nの実行モデルがより明確になり、ユーザーが混乱する可能性が低減されます。

影響と展望

今回のn8nバージョン1.6.1リリースは、特にセキュリティ運用における自動化の可能性を大きく広げるものです。TheHive 5との連携強化は、サイバーセキュリティの脅威が高度化する現代において、企業がより迅速かつ効率的にインシデントに対応するための強力なツールを提供します。これにより、セキュリティアナリストは反復的な手作業から解放され、より戦略的な分析や意思決定に集中できるようになるでしょう。

また、N8N_PERSISTED_BINARY_DATA_TTL環境変数の廃止は、n8nがシステムのシンプルさと堅牢性を追求し続けている姿勢を示しています。不要なレガシー機能を排除することで、よりクリーンで理解しやすいプラットフォームへと進化しています。

今後もn8nは、様々なSaaSツールやオンプレミスシステムとの連携を深め、AI技術との融合も進めることで、ビジネスプロセスのあらゆる側面における自動化を推進していくと期待されます。特に、生成AIとの連携によるワークフローの自動生成や最適化は、今後の大きな展望となるでしょう。

まとめ

n8nバージョン1.6.1のリリースは、以下の重要な変更点を含んでいます。

  • TheHive 5とのネイティブ連携: セキュリティインシデント対応プラットフォームTheHive 5のAPIバージョン5に完全対応し、専用ノードとクレデンシャルを導入。セキュリティ運用の自動化と効率化を大幅に推進します。
  • N8N_PERSISTED_BINARY_DATA_TTL環境変数の廃止: 一時的な実行(Ephemeral Executions)のサポート終了に伴い、関連するレガシーな環境変数が削除され、設定が簡素化されました。
  • 全体的な安定性と機能強化: バグ修正や既存ノードの機能強化により、n8n全体の安定性と利便性が向上しています。
  • セキュリティ自動化の加速: TheHive 5連携により、脅威検知から対応までのプロセスが自動化され、セキュリティチームの負担軽減と対応速度向上が期待されます。
  • シンプルで堅牢なプラットフォームへの進化: 不要なレガシー機能の排除により、n8nはよりクリーンで運用しやすいツールへと進化を続けています。

公式リリースノート

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