2025年4月10日、自動化ツールn8nが最新バージョンをリリースしました!今回のアップデートでは、AIエージェントの連携を革新する「Model Context Protocol (MCP) ノード」が導入され、AIと自動化の融合がさらに加速します。初心者からエンジニアまで、その全貌を深掘りしていきましょう。
AIエージェント連携の標準化:Model Context Protocol (MCP) ノード

今回のリリースの目玉は、AIエージェントと外部ツールとの連携を標準化する「Model Context Protocol (MCP) ノード」の登場です。ChatGPTやClaudeのような大規模言語モデル(LLM)が、n8nで構築した自動化ワークフローをまるで自分の手足のように使えるようになる、画期的な機能です。
MCPは、LLMがツールと連携したり、エージェントシステムにデータを統合したりする方法を標準化することを目的としたプロトコルです。多くのプロバイダーがこのMCPをエージェントシステム構築の標準として採用し始めています。n8nでは、このMCPに対応する2つの新ノードが追加されました。
MCPServer Trigger:n8nをAIのツールサーバーに
「MCPServer Trigger」ノードは、n8nインスタンスをMCPサーバーに変え、n8nのワークフローや機能を外部のLLMにツールとして提供します。例えば、LLMが「顧客情報データベースを検索して」と指示した場合、n8nのデータベース検索ワークフローがMCPを通じて実行され、結果がLLMに返される、といった連携が可能になります。これにより、n8nで作成した強力な自動化ロジックが、AIエージェントから直接利用できるようになります。
graph TD
A[外部LLM] --> B[MCPリクエスト]
B --> C[n8n MCPサーバ]
C --> D[n8nワークフロー]
D --> E[応答データ]
E --> A
MCPClient Tool:n8nエージェントが外部ツールを活用
一方、「MCPClient Tool」ノードは、n8nのAIエージェントから外部のMCP対応サービスに接続し、そのサービスが提供するツールを利用できるようにします。これにより、n8nのエージェントが、外部の多様なAIサービスやアプリケーションの機能を活用できるようになり、より複雑で高度な自動化タスクをこなすことが可能になります。複数のツールを単一のインターフェースで扱えるため、ワークフローの可読性も向上します。
graph TD
A[n8n AIエージェント] --> B[MCPリクエスト]
B --> C[MCP Client Tool]
C --> D[外部MCPサービス]
D --> E[ツール実行]
E --> F[結果]
F --> A
専門用語解説
- LLM(大規模言語モデル)とは: 大量のテキストデータで学習し、人間のような自然な言語を理解・生成できるAIモデルのこと。ChatGPTやClaudeなどが代表的です。
- AIエージェントとは: 目標達成のために自律的に判断し、ツールを呼び出すなどして行動するAIシステムのこと。
- MCP(Model Context Protocol)とは: LLMと外部ツール間のインタラクションを標準化するためのプロトコル。これにより、異なるAIモデルやツール間での連携が容易になります。
活用例とメリット
例えば、MCPServer Triggerを使えば、あなたのn8nワークフローが「在庫確認ツール」や「顧客サポート応答ツール」として、外部のAIチャットボットから直接呼び出されるようになります。これにより、AIはリアルタイムのデータに基づいて、より正確で具体的な応答を生成できるようになります。また、MCPClient Toolを使えば、n8n内のAIエージェントが、外部の画像生成AIやデータ分析サービスといった、様々な専門ツールを必要に応じて呼び出し、タスクを遂行できます。これにより、AIエージェントの能力が飛躍的に向上し、より複雑なビジネスプロセスを自動化できるようになります。
| 項目 | 従来のn8nツール連携 | MCP Client Toolノード |
|---|---|---|
| 接続対象 | 特定のn8nノード、外部API | MCP対応の外部サービス(複数ツール) |
| インターフェース | 個別設定 | 単一インターフェースで複数ツール |
| 複雑性 | ツールごとにノードが必要 | キャンバスがシンプルに保たれる |
| 標準化 | n8n独自の連携 | MCP標準に準拠 |
新しいデータベースノードでデータ連携を強化
データ連携の強化も今回の重要なポイントです。新たに「Azure Cosmos DB」と「Milvus Vector Store」のノードが追加されました。
- Azure Cosmos DB: Microsoft Azureが提供するグローバル分散型のマルチモデルデータベースです。高速なデータアクセスと高いスケーラビリティが特徴で、大規模なWebアプリケーションやIoTソリューションでの利用に適しています。n8nから直接Cosmos DBへのデータ操作が可能になり、Azureエコシステムとの連携がよりスムーズになります。
- Milvus Vector Store: AI分野で注目されるベクトルデータベース「Milvus」のノードも登場しました。Milvusは、画像や音声、テキストなどの非構造化データをベクトル化し、高速な類似検索を可能にします。これにより、n8nのワークフロー内でAIを活用したレコメンデーションシステムやセマンティック検索、異常検知などの高度な機能を構築する道が開かれます。
これらのノード追加により、n8nはより多様なデータソースとの連携が可能になり、特にクラウドネイティブな環境やAI/MLワークロードにおける自動化の幅が大きく広がります。
既存ノードの機能向上
既存の「Email Trigger (IMAP)」ノードもアップデートされました。これにより、メールの受信をトリガーとしたワークフローの安定性と信頼性が向上し、より確実な自動化が実現されます。
影響と展望
今回のn8nのアップデートは、AIエージェントと自動化ツールの連携における新たな標準を提示するものです。MCPの導入は、AIがより多様なツールやサービスを自律的に活用できる未来を加速させ、ビジネスプロセスの自動化、顧客サポート、データ分析など、あらゆる分野でAIの適用範囲を広げるでしょう。特に、n8nのようなノーコード/ローコードプラットフォームでAIエージェントを構築・運用できることは、開発者だけでなく、ビジネスユーザーにとっても大きなメリットとなります。今後、MCPが業界標準としてさらに普及することで、n8nはAIエコシステムの中核を担う存在へと進化していくことが期待されます。
まとめ
- 2025年4月10日、n8nが最新バージョンをリリース。
- AIエージェント連携を標準化する「Model Context Protocol (MCP) ノード」を新導入。
- MCPServer Triggerでn8nを外部LLMのツールとして公開可能に。
- MCPClient Toolでn8nエージェントが外部MCPサービスを利用可能に。
- Azure Cosmos DBとMilvus Vector Storeのノード追加でデータ連携を強化。
- Email Trigger (IMAP) ノードの安定性向上。
詳細については、n8n公式リリースノートをご確認ください。
