ZCodeとは?Z.aiのAIコーディングアプリの仕組み・使い方と、Git履歴アップロードの指摘と公式説明

ZCodeとは AIトレンド

ZCode は、中国のAI企業 Z.ai が提供する、AIにプログラムを書いてもらうためのアプリです。2026年9月、ある開発者が「ログイン中の ZCode が、作業フォルダを過去の変更記録ごとクラウドへ送っている」と報告し、広く読まれました。Z.ai 側も声明を出し、修正済みだと説明しています。この記事では、誰が何を根拠にどう述べているのかを分けて整理します。

ひとことで言うと、ZCodeは何?

ZCode は、AIにプログラムの作成や修正を任せるための作業用アプリです。

たとえるなら、パソコンの中に座っている「プログラミング担当の助手」です。人が言葉で頼むと、助手がフォルダの中のファイルを読み、書き換えます。実際には、公式のリポジトリ(ソースコードの置き場)が「AI プログラミングの作業台」と説明しており、パソコン用アプリ、ブラウザ画面、文字だけの画面(ターミナル)の3つの入口があります。

これまでと何が変わるのかは、次の3点です。

  • チャット画面にコードを貼り付けるのではなく、AIがフォルダの中身を直接扱う
  • そのぶん、AIのアプリが手元のファイルに広く触れることになる
  • だから「アプリが何を外へ送っているか」が、これまで以上に大事になる

ZCodeとは?誰が作っていて、ChatGPTと何が違うのか

ZCode のプライバシーポリシーは、開発・運営元を「北京智谱华章科技股份有限公司」と定めています。ferstar 氏はこのアプリを「Zhipu(智谱)の公式アプリ」と呼んでいます。解説サイト Tokenstead の記事は、Z.ai を「GLM」というAIモデルの系列を公開している北京の企業だと紹介しています。

ChatGPT との違いは、置き場所と役目です。ChatGPT はブラウザで質問に答える相談相手です。ZCode はパソコンに入れて使い、プログラムのフォルダを開いて作業させる道具です。

Tokenstead は、公開されている GLM のモデルと、ZCode というアプリは別物だと注意を促しています。

なぜいま話題になっているのか

きっかけは、ferstar と名乗る開発者のブログ記事です。Tokenstead によると、公開日は2026年9月18日です。

ferstar 氏は、パソコンの空き容量を増やそうとして、ZCode のデータ用フォルダが700MBを超えていることに気づいたと書いています。そこからアプリの中身を調べ、「ログインしているあいだ、作業フォルダ全体をまとめて暗号化し、クラウドの保管場所へ送っている」と報告しました。送り先は Aliyun OSS(アリババクラウドのファイル保管サービス)だとしています。

※Git(ギット)とは: プログラムの変更の記録を残す仕組み。いつ誰がどこを書き換えたかが、最初の日からすべて残ります。

報告では、送られる対象に Git の記録が丸ごと含まれていた点が注目されました。Tokenstead は、Git の記録には「あとで消したはずのパスワード類」や「まだ発表していない計画が分かる名前」が残りうると説明しています。いま開いているファイルだけでなく、何年分もの作業の歴史が対象になる、という指摘です。

Tokenstead によると、ferstar 氏の投稿は27万6000回以上、中国語での注意喚起の投稿も6万3800回見られました。

同じ日の17時44分、Z.ai は利用者コミュニティで公式の声明を出したと、ferstar 氏が記事の追記で伝えています。なお、声明の原文は今回参照した資料には含まれていません。以下で紹介する声明の内容は、ferstar 氏による要約にもとづきます。

ZCodeでは何ができて、どう動いているのか

公式リポジトリの説明から分かる特徴は次のとおりです。

  • 3つの入口がある: パソコン用アプリ、ブラウザで開く画面、ターミナルで動かす版があります。どれも裏側では同じAIの実行部分を使います。
  • 手元のパソコンで動く: ターミナル版とブラウザ版は、どちらも自分のパソコン上で動くと説明されています。ブラウザ版は、初期設定では自分のパソコンからしか開けません。
  • 離れたパソコンのフォルダも扱える: SSH や WSL という接続方法を使った遠隔作業の機能があります。
  • Z.ai のアカウントでログインする: プライバシーポリシーによると、Z.ai か智谱AIの開発者向けサービスのアカウントを使い、登録メールアドレスと電話番号が連携されます。

料金については、プライバシーポリシーに有料プランの申し込み情報を扱う項目があります。ただし、金額やプランの中身は資料からは確認できません。

報告された内容とZ.aiの説明は、どこが違うのか

ferstar 氏は、問題が見つかった旧版(3.12.3)、修正後の版(3.14.0)、公式声明の3つを比べています。

項目 Z.ai の声明(ferstar 氏の要約) ferstar 氏の調査(3.12.3)
何が送られたか Wiki(説明ページ)作成のためのリポジトリのデータ 作業フォルダ全体。約87%が Git の記録
いつ送られるか Wiki をクラウドで作るときに送られる「ことがある」 ログイン中は常に動き、AIに指示を出すたびに作動
設定で止められるか 止めるスイッチへの言及なし 2つの設定を切っても、まとめて送ろうとする動きは続いた
送られた後 Wiki を作り終えたらすぐ消し、保存しない 外部からは確かめられない

両者が一致している点

ferstar 氏は「アップロードが起きたこと自体は、もう争われていない」と書いています。声明は、この機能が公開初期に最初からオンになっていて、一部の利用者が影響を受け、すでに修正したと説明しているとのことです。

修正についても、両者の話はかみ合っています。ferstar 氏が 3.14.0 を調べたところ、送信のためのプログラムは取り除かれ、手元での記録機能だけが残っていました。クラウド側の受付窓口も、呼び出すと「存在しない」を意味する404が返るようになったと報告しています。

声明はさらに、ZCode を近くオープンソース(※プログラムの中身を誰でも読めるように公開すること)にして第三者の点検を受けること、全利用者に週ごとの利用枠のリセットを1回追加することを挙げたとされます。現在、zai-org/ZCode にはアプリ本体やAI実行部分のソースコードを含むリポジトリがあります。一方、Tokenstead の記事は「ZCode は中身が非公開だ」と書いています。執筆時点の違いによる食い違いと考えられますが、リポジトリがいつ公開されたかは資料からは確認できません。

食い違っている点

送られる範囲ときっかけの説明が合いません。声明は「Wiki 作成のとき」に限った書き方です。ferstar 氏は、1回の作業の記録に62回の取り込みが残っていたとして、指示のたびに動いていたと述べています。

設定についても差があります。ferstar 氏によると、「体験の最適化」という設定はAIの学習にデータを使うかどうかだけを決めるものでした。「リポジトリの索引づくり」の設定も、サーバー側で索引を作るかどうかだけを決めるものでした。どちらを切っても、旧版では送信の動きが続いたとしています。

暗号化の鍵も論点です。ferstar 氏は、暗号化に使う鍵がサーバーから渡され、元に戻すための鍵はクラウド側にしかないと報告しました。手元に残った暗号化済みファイルを、利用者自身は開けないということです。ferstar 氏はこれを「サーバー側が読めるようにするための作りだ」と解釈しています。これは氏の見解であり、資料の範囲では Z.ai がこの点に答えた記述は確認できません。

実際にどれだけ外へ出たのか

ここは、紹介のされ方で印象が変わる部分です。Tokenstead は、345MB・4万2411ファイルの商用プロジェクトから313MBの暗号化ファイルが作られ、564回の送信失敗が記録されたと紹介しています。

ferstar 氏は追記で、元の記事が誤解されやすかったと認めています。この313MBのファイルは「送信待ち」のまま止まり、アップロードには成功していませんでした。実際にサーバーに受け付けられたのは、別の小さな公開リポジトリです。538ファイル、暗号化後で約15KB、短いメール数通ぶんほどの大きさでした。

つまり、「外へ出たものはあるか」への ferstar 氏自身の答えは「少なくともその1件はある」です。「313MBの商用コードが送られた」ではありません。

自分に関係ある?向いている人・向いていない人

ZCode は、プログラムを書く人が自分のパソコンに入れて直接使う道具です。ほかのサービスの裏側に組み込まれて、知らないうちに使っている種類のものではありません。プログラミングをしない人が、日常で直接影響を受ける場面は限られます。

関係があるのは次のような人です。

  • ZCode を自分や勤め先のパソコンに入れたことがある人
  • 社内の開発チームがAIのコーディング支援アプリを使っていて、その管理や契約に関わる人
  • AIのアプリを選ぶとき、何を基準にすればよいか知りたい人

Tokenstead は、開発者の Petri Kuittinen 氏の「中身が非公開のAIアプリを信用するな」という発言を、もっとも引用された反応として紹介しています。これは1人の意見です。

使い方・始め方は?(触ってみたい人向け)

ここからは実際に触ってみたい人向けです。読み飛ばしても全体像は分かります。

公式リポジトリには、ターミナル版の起動方法が書かれています。何も付けずに起動すると文字だけの対話画面に入り、--web を付けるとブラウザ用の画面が立ち上がります。

# 文字だけの対話画面に入る
zcode

# ブラウザ用の画面を起動する
zcode --web

# 使える指定の一覧を見る
zcode --help

リポジトリに載っている手順の多くは、ソースコードから自分で組み立てる開発者向けのものです。一般の利用者向けの入手先や、登録の手順は、資料からは確認できません。

注意点と、まだ分かっていないことは?

まず、資料に書かれている範囲で、自分で確認できることです。

  • 使っている版を確かめる: ferstar 氏の調査では、3.12.3 が影響を受けた版で、3.14.0 では送信の仕組みが取り除かれていました。
  • データ用フォルダの大きさを見る: ferstar 氏が異変に気づいたきっかけは、ホームフォルダにある .zcode というフォルダの肥大でした。
  • 設定の意味を取り違えない: 旧版では、2つの設定を切っても送信は止まらなかったと報告されています。一方、プライバシーポリシーによると、入力内容をAIの学習に使う「優化計画」は最初はオフです。オンにした場合も、アプリの「設定→常規」から取り消せます。
  • 会話の記録を消す: ポリシーには、会話の内容は記録され、「履歴」から個別に消せるとあります。
  • 問い合わせる: 個人情報の相談窓口として user_feedback@z.ai が示され、15日以内に回答するとされています。

ferstar 氏の記事は「1行で止める方法」に触れていますが、その中身は今回の資料に含まれていません。そのため、ここでは紹介しません。

次に、確かめられていないことです。

  • すでにクラウドへ送られたデータが本当に消されたか。ferstar 氏は、外部からは確認できないとしています。
  • 「すぐ消す」という説明と、「作業の途中の状態を復元する」という機能の説明が両立するのか。ferstar 氏は矛盾すると指摘しています。
  • 影響を受けた利用者の数や範囲。声明は「一部の利用者」とするだけです。
  • ferstar 氏は、Windows で同じ状態を再現した人や、別の検証例があると紹介しています。ただし、その中身は資料に含まれておらず、この記事では確認できていません。

プライバシーポリシーの書き方も論点です。ferstar 氏は、9月18日時点のポリシーは最終更新が2026年6月15日のままで、作業フォルダ全体の取り込みやクラウドとの同期には触れていなかったと述べています。今回参照できたポリシーの範囲でも、集める対象は「会話の中で利用者が提出・指定した文章、ファイル、コード」と書かれています。作業フォルダ全体を送るという記述は見当たりませんでした。なお、このポリシーは中国本土の電話番号で登録したアカウント向けとされています。

まとめ

  • ZCode は、Z.ai が提供する、AIにプログラムを書かせるためのアプリ
  • 開発者の ferstar 氏が、旧版が作業フォルダを変更の記録ごとクラウドへ送る作りだったと報告した
  • Z.ai は送信があったことを認め、修正済みで、送られたデータはすぐ消していると説明したと伝えられている
  • 修正後の版で送信の仕組みが消えたことは ferstar 氏も確認した。過去に送られたデータの扱いは外から確かめられていない
  • AIのアプリを選ぶときは、賢さだけでなく「何を外へ送るのか」も見る必要がある

よくある質問

プログラミングができなくてもZCodeは使えますか?

ZCodeは、プログラムのフォルダを開いてAIに作成や修正を任せるための道具で、プログラムを書く人が自分のパソコンに入れて使うことを前提にしています。公式リポジトリの手順も開発者向けです。プログラミングをしない人が日常で直接使う場面は限られます。

ZCodeは無料で使えますか?

プライバシーポリシーには、有料プランを申し込んだ場合にプラン名・価格・支払い状況などを扱うという項目があり、有料の契約形態があることは読み取れます。ただし、具体的な金額や無料で使える範囲は、今回参照した資料からは確認できません。

ZCodeを使っていなければ、今回の件は自分に関係ありませんか?

報告されたのは、ZCodeを自分のパソコンに入れてログインしていた人の作業フォルダに関する話です。入れたことがなければ直接の影響は考えにくいです。ただし、勤め先の開発チームが使っている場合は、使っていた版と対象のフォルダを確認する意味があります。

Git履歴のアップロードは、いまも続いているのですか?

報告者のferstar氏は、修正後の版3.14.0を調べ、送信のためのプログラムが取り除かれ、クラウド側の受付窓口も404を返すようになったと報告しています。Z.aiも修正済みと声明したとされます。過去に送られたデータが消されたかどうかは、外部からは確かめられていません。

設定をオフにしておけば送信は止められたのですか?

ferstar氏の調査では、旧版3.12.3で「体験の最適化」と「リポジトリの索引づくり」の2つの設定を切っても、作業フォルダをまとめて送ろうとする動きは続いたとされています。前者はAIの学習への利用、後者はサーバー側の索引作成だけを決める設定だったという説明です。

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