i-have-adhdとは?AIの長い返事を結論から整えるスキルの仕組み・10個のルール・使い方を解説

i-have-adhdとは AIトレンド

AIに質問したら、返事が長くて肝心の答えが見つからない。これは、AIを使う人がよく口にする不満です。「いい質問ですね」から始まり、背景の説明が続き、結論は真ん中あたりに埋もれている。i-have-adhd は、この「結論が埋もれる問題」を整えるための小さな追加ルール集です。SNSで名前を見かけた人に向けて、何をするものなのか、自分に関係があるのかを、公開されている資料の範囲で説明します。

ひとことで言うと、i-have-adhd は何?

i-have-adhd は、プログラミングを手伝うAIの返事を「まずやること、次に手順、最後に次の一歩」の形に整えるための追加ルール集です。

道を尋ねたときを想像してください。町の歴史から話し始める人もいれば、「次の角を右です。歩いて3分です」と答える人もいます。急いでいるときに助かるのは後者です。

i-have-adhd は、AIを後者の話し方に寄せます。公式の説明は、答えを埋もれさせないためのスキルだと述べています。行動が先、手順には番号、結びのあいさつは無し、という方針です。

これまでと変わる点は次の3つです。

  • 返事の最初に「次にやること」が来る
  • 手順が番号つきで並び、どこまで進んだかが分かる
  • 前置き、脱線、結びのあいさつが消える

i-have-adhd とは、誰が作ったどんなもの?

i-have-adhd は、GitHub(※プログラムを公開・共有するためのサイト)で ayghri というアカウントが公開している「スキル」です。ライセンスは MIT です。これは、無料で使えて、書き換えも認められている形の利用条件です。

ここでいう「スキル」とは、AIに後から読み込ませる指示書のことです。対象は「コーディングエージェント」です。これは、人の代わりにプログラムを書いたり直したりするAIの助手を指します。導入手順の資料には、Claude Code、Codex、Antigravity、AstronClaw という4つの製品向けの手順が載っています。

ChatGPT のようなAIそのものとは違います。i-have-adhd は新しいAIではありません。すでに使っているAIの「話し方」だけを変える部品です。第三者の解説記事も、AIがしてくれる内容ではなく、AIの話し方を変えるものだと説明しています。

名前にある「ADHD」はどう説明されているのか

名前は目を引きますが、資料の説明は控えめです。公式ページは冒頭で「ADHDフレンドリーな出力。ADHDの診断は必要ありません」という趣旨を掲げています。

ルールの出どころも書かれています。J. Russell Ramsay 氏と Anthony L. Rostain 氏の書籍『The Adult ADHD Tool Kit』を「ゆるく」下敷きにした、とあります。ただし、人が一日を整える方法ではなく、AIがどう返事をすべきかに合わせて作り替えた、という説明です。

つまり、これは医療の道具でも診断の道具でもありません。効果を調べた研究や数値も、資料には出てきません。「結論から短く伝える話し方」をAIに守らせるもの、と捉えるのが資料に沿った理解です。

なぜ話題になっているのか?

理由の1つは、多くの人が感じている不満をそのまま突いたことです。公式ページの最後には、「Great question!(いい質問ですね)」を1回読み飛ばす手間が省けたら星をつけてほしい、という一文があります。AIの決まり文句にうんざりしている人には、すぐ意味が伝わります。

2つ目は、数字です。Chudi Nnorukam 氏の解説記事によると、同氏が2026年9月4日に確認した時点で、GitHub のスター(※「いいね」に近い印)は 27,119 個でした。小さな指示書ひとつに、2万7千人あまりが印をつけた計算です。

同記事は、Claude Code の利用者が手を伸ばすADHD向けスキルの中で最も導入されており、この分野で大きく先行している、とも書いています。ただし、これは記事の筆者による評価です。比較の元になった導入数は、資料の中には示されていません。

3つ目は、解説する人が出てきたことです。公式ページは、Kacper Rutkiewicz 氏(AI Made Simple)が以前の版を動画で解説している、と紹介しています。

どんな仕組みで、何が変わるのか?

返事がどう変わるか

公式ページには、導入前と導入後の返事の例が並んでいます。題材は、ログインまわりの不具合をAIに相談する場面です。

導入前の返事は、「いい質問ですね。考えてみます」で始まります。関係する部品の説明が続き、「こういう方法もあります」と遠回しに直し方が出てきます。途中で別の話題にも触れ、「お役に立てば幸いです」で終わります。

導入後の返事は、最初の1行が「この命令を実行して、このファイルのこの行を直す」です。続いて番号つきの手順が3つ並びます。最後は「テストが失敗したら、最初の失敗の行を貼ってください」という次の一歩で終わります。

10個のルール

中身は10個のルールです。公式ページの一覧と、導入手順の資料にある説明を合わせると、次のようになります。

番号 ルール かみくだくと
1 次の行動を先頭に置く 命令や場所、書くべき内容を最初に出す
2 複数の手順には番号をふる 1つの番号につき、区切りのよい作業を1つ
3 具体的な次の一歩で終える 2分以内にできる行動を1つだけ示す
4 脱線をおさえる 今の問題を片づけてから、別の話を出す
5 毎回、現在地を言い直す 「5つのうち3つ目まで完了」のように伝える
6 時間の見積もりは具体的に 「少し」ではなく、分などの単位で言う
7 うまくいったことを見せる 変更のあと、何が動くようになったかを示す
8 エラーは淡々と伝える 場所、原因、直し方を言う。大げさにしない
9 箇条書きは5個まで 選択肢を並べすぎない
10 前置き、おさらい、結びの言葉なし あいさつ文を省く

どう実現しているか

仕掛けは単純です。上のルールを書いた指示書を、AIに読ませるだけです。導入手順の資料によると、AstronClaw という製品では、指示書のファイル1つだけで足りるとされています。

一度呼び出すと、その会話のあいだは同じ話し方が続きます。やめたいときは「stop adhd mode」か「normal mode」と伝える、と資料にあります。

例外も決まっている

短ければよい、という作りではありません。導入手順の資料には、次の例外が書かれています。

  • 「説明して」と頼まれたら、省かずに説明する
  • 元に戻せない操作の前には、確認をとる
  • 直しが3回続けて失敗したら、手を止めて、疑わしい前提を名指しする
  • 頼みごとがあいまいなら、短い質問を1つだけ返す

自分に関係ある?向いている人・向いていない人

i-have-adhd は、利用者が自分で入れて使うものです。どこかのサービスの裏側に組み込まれて、知らないうちに働く種類のものではありません。

ただし、入れる先はプログラミング用のAI助手です。導入には、黒い画面に文字で命令を打ち込む操作が出てきます。プログラミングをしない人が、そのまま使う場面は多くありません。

向いているのは、次のような人です。

  • Claude Code や Codex などのAI助手を、すでに仕事で使っている人
  • AIの返事が長く、どこから手をつけるか迷いがちな人
  • 手順を1つずつ確かめながら進めたい人

向いていないのは、次のような人です。

  • AIに背景や理由をじっくり語ってほしい人(頼めば説明はしてくれますが、ふだんは短くなります)
  • プログラミング用のAI助手を使っていない人

非エンジニアにとっての収穫は、考え方のほうにあります。「結論から言って」「手順には番号をふって」「最後に次の一歩を1つだけ書いて」。こうした頼み方は、i-have-adhd の10個のルールが示している方向そのものです。なお、解説記事の筆者は、開発者でない人向けの記事を別に用意していると案内しています。その中身は今回の資料には含まれていません。

使い方・始め方は?(触ってみたい人向け)

ここからは実際に触ってみたい人向けです。読み飛ばしても全体像は分かります。

いちばん手軽な方法は、AI助手に頼むことです。公式ページは、次の文をそのまま貼りつける方法を案内しています。

Install the i-have-adhd skill/plugin from https://github.com/ayghri/i-have-adhd, refer to the repo's AGENTS.md for instructions.

自分で入れる場合の手順は、導入手順の資料にあります。Claude Code では、次の2行を実行します。

claude plugin marketplace add ayghri/i-have-adhd
claude plugin install i-have-adhd@i-have-adhd

入れたあと、会話の中で /i-have-adhd と打つと有効になります。入ったかどうかは claude plugin list で確かめられます。入れただけでは何も変わらない、と資料は明記しています。

毎回打つのが面倒な人向けに、常に有効にする方法もあります。目印になる空のファイルを1つ作ると、会話の開始時にルールが自動で読み込まれます。

touch ~/.claude/.i-have-adhd-always

元に戻すときは、このファイルを消します。常に有効にしていても、「stop adhd mode」と伝えればその会話では止まります。

rm ~/.claude/.i-have-adhd-always

一時的に止めるなら claude plugin disable i-have-adhd、完全に外すなら次の2行です。

claude plugin uninstall i-have-adhd
claude plugin marketplace remove i-have-adhd

ほかの製品の手順も載っています。Antigravity では、次の1行です。

agy plugin install https://github.com/ayghri/i-have-adhd

Codex では、次の2行です。呼び出し方の説明は、手元の資料では途中で切れていて確認できませんでした。

codex plugin marketplace add ayghri/i-have-adhd --ref main
codex plugin add i-have-adhd@i-have-adhd

ルールを自分好みに変えることもできます。公式ページは、複製して指示書のファイルを書き換え、自分の版に入れ替える流れを紹介しています。入れ替えたあとは、AI助手を再起動して、もう一度呼び出します。

注意点と、現時点で分かっていないことは?

まず、効果を示す数値はありません。返事がどれだけ短くなるのか、作業がどれだけ速くなるのか。こうした測定は、資料のどこにも出てきません。医療上の効果をうたう記述もありません。

次に、製品ごとに確かさが違います。AstronClaw 向けの手順について、資料は「公式の説明書に沿って書いたが、このスキルでは試していない」と断っています。取り込みに成功しても、ルールが守られているとは限らないので、返事を自分の目で確かめるよう勧めています。

資料どうしで、書き方が少し違う点もあります。解説記事は i-have-adhd を「Claude Code のプラグイン」と紹介し、2つの命令で入ると書いています。一方、導入手順の資料には、Claude Code 以外の製品向けの手順も載っています。解説記事は Claude Code での使い方に絞って書いている、と読むのが自然です。

スターの数は、解説記事の筆者が2026年9月4日に確認した値です。今の数とは違う可能性があります。

日本語での使い勝手も分かっていません。公式ページの上部には、日本を含む10個の国旗のしるしが並んでいます。ただし、何が日本語で用意されているのかは、資料からは確認できません。日本語の会話でルールがどこまで守られるかも、公表されていません。

最後に、10個のルールの全文は別のファイルにある、と公式ページは案内しています。今回の資料にはその全文が含まれていません。この記事のルール説明は、一覧と導入手順の記述に基づくものです。

まとめ

  • i-have-adhd は、プログラミング用のAI助手の返事を「結論が先、手順は番号つき、最後に次の一歩」に整える追加ルール集
  • 名前にADHDとあるが、診断は不要と明記されている。医療の道具ではなく、AIの話し方を変えるもの
  • 中身は10個のルール。前置きや結びのあいさつを省き、箇条書きは5個までにおさえる
  • 無料で使えて、書き換えもできる。ただし導入には命令を打ち込む操作が必要
  • 効果の測定値や、日本語での使い勝手は、現時点では公表されていない

よくある質問

プログラミングができなくても使えますか?

そのまま使う場面は多くありません。i-have-adhdはClaude CodeやCodexなど、プログラミングを手伝うAI助手に入れるもので、導入には命令を打ち込む操作が必要です。ただし「結論から言って」「手順に番号をふって」という考え方は、ふだんのAIへの頼み方にも生かせます。

無料で使えますか?

i-have-adhd自体はGitHubでMITライセンスのもと公開されており、無料で使えて書き換えも認められています。ただし、入れる先のAI助手(Claude CodeやCodexなど)の料金は別の話です。それらの料金は今回の資料には書かれていないため、各製品の案内を確認してください。

ADHDの診断を受けていなくても使ってよいのですか?

公式ページは冒頭で、ADHDの診断は必要ないという趣旨を明記しています。ルールは書籍『The Adult ADHD Tool Kit』をゆるく下敷きにしたとされますが、AIの返事の仕方に合わせて作り替えたものです。医療や診断の道具ではなく、返事を結論から短くするための設定です。

短くなりすぎて、説明が足りなくなりませんか?

例外が決められています。導入手順の資料によると、説明を求められたら省かずに説明する、元に戻せない操作の前には確認をとる、直しが3回失敗したら手を止めて疑わしい前提を示す、頼みごとがあいまいなら短い質問を1つ返す、という決まりです。

やめたくなったらどうすればよいですか?

会話の中で「stop adhd mode」または「normal mode」と伝えると、その会話では元の話し方に戻ると資料に書かれています。Claude Codeでは、入れたまま無効にする命令と、完全に取り外す命令の両方が導入手順の資料に載っています。

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