急成長中のAIツール8選【2025年12月版】

特集

有名どころのLLMやチャットアプリだけ追っていると、実務に刺さる新勢力を取り逃がしがちです。
2025年は特に、次の2つが加速しました。

  • エージェント化:単発の文章生成から、連携・判断・実行までをワークフロー化
  • 周辺レイヤーの充実:記憶(コンテキスト基盤)、AIドキュメント、AI検索対策など「運用で差がつく層」が伸長

この記事では、日本ではまだ一般化しきっていない一方で、プロダクトの動きが速く、実務導入の恩恵が大きいツールを8つ厳選しました。
各ツールを「何が新しいか」「どこで刺さるか」「どう始めるか」まで、AI Tools Hub向けに深掘りして解説します。

  1. 2025年のトレンド整理:何が伸びたのか
    1. 1) エージェントは「作る」より「運用」が本番
    2. 2) 記憶とコンテキストが差別化ポイントになった
    3. 3) ドキュメントはAIの主要な入口に
    4. 4) AI検索対策は「記事量産」ではなく「運用設計」へ
  2. 8ツール比較:用途別に最短で選ぶ
  3. 1. Gumloop:AI自動化の本命、ノーコードで業務フローを組む
    1. 何が新しいのか
    2. 刺さる使い方
    3. 導入の最短ルート
    4. 料金メモ(目安)
  4. 2. Relay.app:自然文から組める、非エンジニア寄りエージェント
    1. 何が新しいのか
    2. 刺さる使い方
    3. 使い始めのテンプレ例
    4. 料金メモ(目安)
  5. 3. StackAI:エンタープライズの「配る・守る」を前提にした基盤
    1. 何が新しいのか
    2. 刺さる使い方
    3. 導入の勘所
  6. 4. Voiceflow:チャットと音声の顧客対応を作るなら最有力
    1. 何が新しいのか
    2. 刺さる使い方
    3. 導入の最短ルート
  7. 5. Zep:エージェントの記憶とGraphRAGを専門に扱うレイヤー
    1. 何が新しいのか
    2. 刺さる使い方
    3. 導入で失敗しやすい点
    4. 最初の設計チェックリスト
  8. 6. Graphite Agent:コメント止まりを超える、実行までのコードレビュー
    1. 何が新しいのか
    2. 刺さる使い方
    3. 導入のコツ
  9. 7. Mintlify:AI時代のドキュメントは「読まれる」から「接続される」へ
    1. 何が新しいのか
    2. 刺さる使い方
    3. 重要な観点
  10. 8. AirOps:AI検索で勝つためのコンテンツ運用を仕組み化
    1. 何が新しいのか
    2. 刺さる使い方
    3. 導入の勘所
  11. 結局どれ?選び方の早見チャート
  12. FAQ
    1. Q. まず1つ試すならどれが無難?
    2. Q. エージェントが暴走しないか不安です
    3. Q. AI検索対策は結局SEOと何が違う?

2025年のトレンド整理:何が伸びたのか

1) エージェントは「作る」より「運用」が本番

今年の勝ち組は、エージェントそのものよりも「接続」「ガバナンス」「可観測性」「失敗時の安全装置」まで面倒を見る方向に進化しました。
つまり、PoCではなく本番運用の壁を越えるツールが強いです。

2) 記憶とコンテキストが差別化ポイントになった

長期運用では「そのユーザーの履歴」「業務の文脈」「社内ナレッジ」をどう保持し、必要時に取り出せるかが精度を決めます。
Zepのような専用レイヤーが注目されるのは、ここがボトルネックになりやすいからです。

3) ドキュメントはAIの主要な入口に

Mintlifyは、llms.txt や MCP などを通じて、ドキュメントをAIに最適化し、接続可能なインターフェースとして扱います。
公開情報を整備できるチームは、AI検索時代に強いです。

4) AI検索対策は「記事量産」ではなく「運用設計」へ

AirOpsは、ブランド知識・ガードレール・制作パイプラインを含めた運用の仕組み化に寄せています。
人が増やせないのに成果だけ求められるチームで刺さりやすい領域です。


8ツール比較:用途別に最短で選ぶ

まずは全体像を掴むために、用途別の比較表からいきます。
ここから各ツールを深掘りします。

ツール得意領域おすすめの人導入の勘所
Gumloopノーコード業務自動化・AIワークフローOps/マーケ/営業/情シスで「連携して回す」人小さな定例作業から始めて、権限と監査ログを整える
Relay.app自然文から組めるライトなAIエージェント非エンジニア中心のチームテンプレから入り、ヒューマン承認ポイントを置く
StackAI企業向けAIエージェント基盤セキュリティやコンプラが最重要の組織「配る」設計と「守る」設計を先に決める
Voiceflowチャット・音声エージェント構築CS/サポート/IVRの改善をしたい組織FAQ連携と評価指標(解決率など)を最初に定義
Zep記憶・コンテキスト基盤・GraphRAGエージェントを長期運用する開発チーム何を記憶させ、何を忘れさせるかを明文化
Graphite AgentAIコードレビュー(指摘から修正まで)PR往復が重いチームCI失敗修正、PR説明文など「雑務」を先に任せる
MintlifyAIネイティブドキュメント(llms.txt/MCP)OSS/SaaSのドキュメントが資産な組織公開情報の整備が、そのままAI流入の基盤になる
AirOpsAI検索対策・コンテンツ運用の仕組み化SEOとAI検索の両方を攻めたいチームブランド知識と制作フローを「ルール化」して回す

1. Gumloop:AI自動化の本命、ノーコードで業務フローを組む

カテゴリ:ノーコードAIエージェント・業務自動化

何が新しいのか

Zapier/Makeに近い触感で、よりAIエージェント寄りに踏み込みやすいのが強み。
ドラッグ&ドロップで、データ・アプリ連携・AI処理を1本のワークフローに落とし込めます。

刺さる使い方

  • 定例レポートの自動生成(スプレッドシート更新、Slack配信まで)
  • 競合監視、価格チェック、求人チェックなどの定期収集
  • SNS投稿の下書き生成と予約投稿の準備
  • 問い合わせ内容の分類、一次返信案の作成

導入の最短ルート

  1. まずは「毎週やっている作業」を1つ選ぶ(例:週次レポート)
  2. 入力(データ取得)と出力(通知、更新)を明確化
  3. AIは最初から賢くしない。最低限の要約や分類から始める
  4. 権限と監査ログが必要になったら、運用設計に入る

料金メモ(目安)

  • Free:月2k credits など
  • Solo:月37ドルから
  • 上位プランでは監査ログやVPC、データ保持ルールなどの項目が明記

公式Gumloop


2. Relay.app:自然文から組める、非エンジニア寄りエージェント

カテゴリ:かんたん系AIエージェント・ワークフロー

何が新しいのか

「やりたいことを自然文で説明するとエージェント構成を作ってくれる」方向に寄せているのが特徴。
オンボーディングの軽さが武器です。

刺さる使い方

  • ミーティング後の要約とフォロー連絡の自動化
  • ルーティン作業の標準化(チェックリスト、通知、整理)
  • 小規模チームの業務フロー統一

使い始めのテンプレ例

最初はテンプレを使い、承認ポイントを置くのが安全です。

例:毎朝9時に、前日の問い合わせを分類して、重要度順にSlackへ投稿する
・入力:Gmail or フォーム
・処理:分類、要約、重要度スコア
・出力:Slack、Google Sheets
・例外:重要度が高いものだけ人間が承認して返信案を送る

料金メモ(目安)

プランはワークフローのステップ数とAIクレジットでスケールする設計が明記されています。

公式Relay.app


3. StackAI:エンタープライズの「配る・守る」を前提にした基盤

カテゴリ:企業向けノーコードAIエージェント

何が新しいのか

バックオフィス、ドキュメント処理、ITサポートなど、企業での本番運用を想定した構成が体系化されています。
規制や監査を前提に導入しやすいのが強みです。

刺さる使い方

  • 契約書、請求書などのドキュメント処理
  • 社内問い合わせの一次対応(ITヘルプデスク)
  • CRMやDWHへの入力補助、データ整形

導入の勘所

  • 先に決めるべきは「誰が使うか」と「どのデータに触れるか」
  • テンプレから始めると、運用ルールが作りやすい
  • 監査・権限・データ保護をPoC段階で軽くでも触っておく

公式StackAI


4. Voiceflow:チャットと音声の顧客対応を作るなら最有力

カテゴリ:チャット/音声エージェント構築

何が新しいのか

顧客対応のチャットや音声エージェントを、スピードと可観測性重視で組み立てられる設計です。
FAQやナレッジベース連携など、運用に必要な要素が揃っています。

刺さる使い方

  • FAQと連携したサポート窓口
  • オンボーディング用の対話UI
  • 電話対応の一次窓口(IVRの進化系)

導入の最短ルート

  1. FAQ、規約、手順書など「一次回答できる情報」をまとめる
  2. 対応範囲を決める(できること、できないこと)
  3. 評価指標を置く(解決率、有人転送率、CSATなど)

公式Voiceflow


5. Zep:エージェントの記憶とGraphRAGを専門に扱うレイヤー

カテゴリ:エージェントの記憶・コンテキスト基盤

何が新しいのか

チャット履歴や業務データ、ドキュメントなどから、必要な文脈を組み立てることに特化しています。
長期運用で効いてくる「記憶」を専用レイヤーとして持てるのがポイントです。

刺さる使い方

  • 社内エージェントの長期記憶(人の入れ替わりに強い)
  • 顧客対応エージェントのパーソナライズ
  • GraphRAGの構成を本番運用したいチーム

導入で失敗しやすい点

  • 何でも記憶させると、逆にノイズが増える
  • 保持期間、PII、削除要件を決めないと後で詰む

最初の設計チェックリスト

  • 記憶する単位:会話、チケット、顧客、プロジェクトなど
  • 忘れるルール:期限切れ、重要度低、個人情報など
  • 参照の優先順位:最新、頻出、権限範囲内など

公式Zep


6. Graphite Agent:コメント止まりを超える、実行までのコードレビュー

カテゴリ:AIコードレビュー

何が新しいのか

従来のAIレビューが「コメントを残す」だけで止まりがちだった弱点を補い、
指摘から修正、PR更新まで一体化を狙う設計が特徴です。

刺さる使い方

  • PRの指摘と修正の往復を短縮
  • 生成コードの品質底上げ(最低限の基準線を作る)
  • 小規模チームのレビュー負荷軽減

導入のコツ

  • まずは「PRタイトルと説明文」「軽微な修正」「CI失敗対応」など、価値が分かりやすい雑務から
  • レビュー方針(Lint、命名、テストの基準)を文章で与えると安定しやすい

公式Graphite


7. Mintlify:AI時代のドキュメントは「読まれる」から「接続される」へ

カテゴリ:AIネイティブなドキュメント基盤

何が新しいのか

llms.txt や MCP 対応などを通じて、AIが参照しやすい形でドキュメントを提供する方向性を強く打ち出しています。
ドキュメントがAIの知識源になる前提で、検索や構造化も含めて最適化できます。

刺さる使い方

  • OSSやSaaSのドキュメント刷新
  • APIドキュメントの保守コスト削減
  • AI検索やエージェントに正しく参照される公開情報の整備

重要な観点

  • AI時代は「良いプロダクト」でも「参照されない」と損をする
  • llms.txt や MCP の整備は、広義の配布戦略になる

公式Mintlify


8. AirOps:AI検索で勝つためのコンテンツ運用を仕組み化

カテゴリ:コンテンツ運用・AI検索対策

何が新しいのか

単なるAIライティングではなく、ブランドの知識やガードレールを組み込んだコンテンツ運用を一気通貫で支援する方向に進化しています。
AI検索時代のSEO、コンテンツ運用の文脈で伸びやすい領域です。

刺さる使い方

  • 企業コンテンツの品質と量の両立
  • AI検索での露出を意識した運用
  • 監修フローを含むチーム向け制作パイプライン

導入の勘所

  • ブランド知識を「文章のトーン」ではなく「ルール」に落とす
  • 制作物の評価軸を決める(AI検索での露出、自然検索、CVなど)
  • 人間の監修ポイントを減らしすぎない(事故を防ぐ)

公式AirOps


結局どれ?選び方の早見チャート

  • 業務自動化を最短で回したい:Gumloop / Relay.app
  • 顧客対応のチャットや音声を作りたい:Voiceflow
  • 企業要件(権限、監査、規制)が最優先:StackAI
  • エージェントの記憶と文脈を本気で扱いたい:Zep
  • PR往復を減らし、レビューを前に進めたい:Graphite Agent
  • AIに参照されるドキュメントを作りたい:Mintlify
  • AI検索時代のコンテンツ運用を仕組みにしたい:AirOps

FAQ

Q. まず1つ試すならどれが無難?

個人や小規模なら「週次作業の自動化」に直結するGumloopやRelay.appが成果を出しやすいです。
チームのCS課題が大きいならVoiceflowが分かりやすい投資になります。

Q. エージェントが暴走しないか不安です

ヒューマン承認ポイントを置く、書き込み系の操作を分離する、監査ログを確認できる状態にするのが基本です。
最初からフルオートにしないのが安全です。

Q. AI検索対策は結局SEOと何が違う?

キーワード最適化だけではなく、ブランド知識の一貫性、公開情報の構造化、AIが参照できる形式(llms.txtなど)も含めた「参照される設計」が重要になります。


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